恐怖の追証(2/2)
前ページでの計算は、評価損が発生したときの口座にある委託保証金と買建てた代金の関係から
求められる委託保証金率が、証券会社の設定した委託保証金率(あるいは委託保証金維持率)を
下回ったときに追証が発生することを意味しています。そこで前ページの式を変形すると、以下の式が得られます。
これに前ページの株価が1,500円から1,300円に下落したときの条件を代入して、評価損が発生したときの
委託保証金率を求めると20%でした。前ページでの証券会社の設定した委託保証金率は30%なので、20%を30%に
するために10%の追証が必要になることが分かります。
従って、追証額は、
追証額=建玉代金(1,500円×1,000円=1,500,000円)×10%=150,000円
となり、前ページの追証額と一致します。このような計算方法もあります。
以上で追証について買建て(信用買い)時を例にとり説明しましたが、売建て(信用売り)の場合も同様です。
追証は追証が発生した日より翌営業日まで(証券会社により異なります)に入金しなければなりません。
万一、入金できない場合には追証発生日から4営業日目に証券会社が勝手に反対売買を行い清算をし、
損失については口座の委託保証金現金や代用有価証券を勝手に売却して補填されてしまいます。
また、追証発生後、株価が上昇して委託保証金率が証券会社で定める委託保証金率を上回っても、その追証の
入金が必要となるところが注意点です。
では、追証を起こさせないための予防策をあげてみると、以下のようになります。
- 委託保証金は余裕を持たせておくこと。
- 代用有価証券は時価により変動するため、評価損により口座の委託保証金が減少するので、なるべく代用有価証券は使わない。
- 代用価証券を使うなら、買建ての場合は建玉と反対の値動きをする銘柄を用いる。買建てた銘柄と代用有価証券が同じ銘柄だと、
評価損は2倍になるので追証が発生しやすい。
- 逆に売建ての場合は建玉と同じ値動きをする銘柄を用いる。
- 株式分割などは代用有価証券の価値が下がるため、分割発表には注意を払うこと。
追証の本当の恐怖は、信用買いをしているときに株価が大暴落したときです。普通、反対売買することで清算しますが、
大暴落のときは誰も買ってくれません。市場にあるのは売り注文だけです。従って、株価はどんどん下がりますが、
売れない状況が続きます。こうして追証額の増加は行くとこまで行ってしまい、大量に信用買いをしている人は
資産をかなり失うことになります。
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